煙の上る隙間もなく。

そして今日。
祖母を見送ってきました。
最後に見た顔はとても綺麗で。
たくさんの花の中で。
うっすらと笑って見えました。
僕の家の近くの斎場は、煙突がなく。
祖母には空に行く道がないように思えて。
こんなにいいお天気なのに、少し悔しくて。
チーンと。
電子レンジのような音がホールに響きます。
とてもとても。
しっかりした骨でした。
喉仏は、仏様の合掌した姿だから喉“仏”と言うのだそうです。
祖母の“仏”はしっかりと。
手と手を合わせて見えました。
帰宅後、兄が塩を身体に掛けています。
僕が聞きます。
「兄貴、それ味塩じゃない?」
「あ、ホントだ」
「おばあちゃん味付けして、どうすんだよ」
「ハハハ」
きっとこんな風にして、人生は続いていく。